そんな声にお応えするために、モンテッソーリ教育の全体像がわかる記事をご用意しました。
本記事では、モンテッソーリ教育の起源や歴史、基本理念や実践内容、教具などをやさしい言葉でまとめました。
読み終わる頃には、モンテッソーリ教育を人に説明できるようになっていますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
ちなみに、本記事ではモンテッソーリ教育のメリットに焦点を当てているのですが、否定的意見を紹介した記事『モンテッソーリ教育は気持ち悪い?なぜ否定的な意見が出るのか?』も見ていただけると、客観視できると思いますよ。
モンテッソーリ教育は気持ち悪い?なぜ否定的な意見が出るのか?
モンテッソーリ教育を『気持ち悪い』と酷評する人もいるみたいなんだけど、なぜなんだろう?実はモンテッソーリ教育に興味を持ち始めたんだけど、気持ち悪いって言われているのは気になるなぁ。 確か ...
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モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育とは、子どもの自己教育力を信じ、育つための環境を整えることで成長をサポートする教育体系です。
『自己教育力』と『環境』は大事なポイントなので、覚えておいてくださいね。
ちなみに、ギフテッドな子どももモンテッソーリを受けている場合があるようです。
ギフテッドに関する記事を揃えているので、よければ参考にされてくださいね。
では、歴史を紐解いてみましょう。
モンテッソーリ教育の歴史
創始者
モンテッソーリ教育を最初に作り上げた人は、イタリアの女性医師・マリア=モンテッソーリです。
マリア=モンテッソーリは、イタリアで初めて医学博士号を取得した女性としても知られているんです。
20世紀初頭のことなので、もう100年以上の歴史があるんですよ。
こちらが、マリア=モンテッソーリです。
聡明な顔立ちですね。
最初のモンテッソーリスクール
1907年に、ローマ不動産協会が貧困層向けのアパートに保育施設を設け、マリアに監督・指導を任せました。
その施設こそ、モンテッソーリ教育が生まれた『子どもの家』だったのです。
(イタリア後では、子どもの家を『Casa de bambini(カーサ・デ・バンビーニ)と言います)
子どもの家では、おもちゃと教具を置いたのですが、『おもちゃで遊ぶに違いない』というマリアの予想に反して、子どもたちは教具で遊んで楽しんでいたそうです。
子どもの家でマリアが実践して作り上げたのが、モンテッソーリ教育というわけです。
アメリカへの広がり
モンテッソーリ教育は欧米を中心に広がりを見せました。
アメリカでは、1909年に発刊された『幼稚園-初等教育雑誌』に掲載された記事で、マリア・モンテッソーリが紹介されたことがきっかけのようです。
1912年に発刊された英語版の『モンテッソーリ・メソッド』は賛否両論を巻き起こしながらアメリカに広がっていきました。
参考文献:『1910年代アメリカにおけるモンテッソーリ教育受容』(米津美香)
モンテッソーリ教育は、アメリカ人含めて多くの著名人を輩出しています。
モンテッソーリ教育を受けた有名人の記事にまとめたので、参考にしてくださいね。
モンテッソーリ教育を受けた16人の有名人・芸能人をご紹介
モンテッソーリ教育に興味が湧いてきたんだけど、これまでどんな人がモンテッソーリ教育を受けたんだろう?? そういった疑問にお答えします。 本記事では、モンテッソーリ教育を受けた有名人をエピ ...
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モンテッソーリ教育と似た文脈で引き合いに出されるのが、国際バカロレアです。
こちらの記事で解説してあるので、よければ参考にされてください。
日本への導入
日本でも、1911年に『万朝報』(よろずちょうほう)でモンテッソーリ教育が紹介されました。
1913年には、日本の著者によるモンテッソーリ教育関連の書籍が発売されたり、大阪天真堂でモンテッソーリ教育の教具が発売されたり。。だったのですが、戦前の日本には馴染まなかったようで、一旦は衰退してしまいました。
当時は戦乱の世の中にまっしぐらな状況でしたから、子どもの自己教育力とか環境だなんて気にしていられなかったのでしょうね。
戦後の1962年に『モンテッソーリ研究会』が立ち上がったことを皮切りに、日本からも海外に留学してモンテッソーリ教育を学ぶ人が出てきました。
そして、1967年には、留学の経験を活かして『善福寺子供の家』(東京都杉並区)を創設し、モンテッソーリ教育を実践する場をつくったのです。
以降、モンテッソーリ教育を実践する施設が増えていき、現在に至ります。
参照1:『近代日本におけるモンテッソーリ教育法の実践』(西川ひろ子)
参照2:『戦後日本におけるモンテッソーリ教育再導入』(竹田恵)
モンテッソーリ教育の基本理念
モンテッソーリ教育の基本理念は、シンプルです。
僕がよく参照する本『マンガでやさしくわかる モンテッソーリ教育』では、以下のとおりに説明されています。
子どもには自己教育力があることを信じ、子どもがやりたがることを、大人の迷惑にならない方法で、心ゆくまでさせてあげられるように援助すること(P.33)
出典:『マンガでやさしくわかる モンテッソーリ教育』
本書のレビュー記事も参照くださいね。
大人が誘導や規制をしないので、子どもは自己教育力に従ってとことん伸びていけるってことですね。
この基本理念を実現するためには、いくつかの原則を守る必要がありますので、説明します。
基本理念のための原則
自己教育力について
大人との違いを知る
子どもの自己教育力を信じることが大原則です。
そして、対象は大人ではなくて発達段階にある子どもです。
大人であればすぐにできることをできなかったり、同じことを何度も繰り返したりする様子にイライラすることもあるでしょう。
ですが、人生の他の経験値が僅少の状態で、新しいことをスムーズに習得するのは無理な話だし、習得するために動きを何度も繰り返して覚えるのです。
それが自己教育力でもあるとされています。
子どもは自然のプログラムに従って成長する
ヒトの子どもも自然の中に生きる生命ですよね。
植物が芽を出して茎を伸ばして花を咲かせるように、順序や時期は自然が定めたものです。
大人の願望で、その順序や時期を変えたりするとどこかで歪みが出てしまいます。
子どもの自然な発達を知り、その順序や時期にあった援助を大人が行うのが重要というわけです。
援助について
大人ができるのは『援助』です。
その援助をするために大切なのが『環境』です。
環境には『物的環境』と『人的環境』がありますが、モンテッソーリ教育では『人的環境』を重要視しています。
物的環境は、以下が重要視されます。
- 子どもサイズであること
- 魅力的な本物であること
- 秩序ある空間であること
人的環境としては、大人は指示を出すのではなく、子どもが求めたときだけ援助するような、上品で控えめな立ち位置を心がけるそうです。
モンテッソーリ教育の5分野
モンテッソーリ教育では、5つの分野の教育を行います。
そしてこの5分野は、うまく連携しているんですよ(後ほど説明します)。
- 日常生活の練習
- 感覚教育
- 文化教育
- 言語教育
- 算数教育
日常生活の練習
日常生活の練習は、ほかの4分野の基礎となるものです。
着替えや準備、片付けなどを練習するのですが、単なる練習ではつまらないので、教具を使います。
十分に五感を使うことで、以降の分野の準備にもなっているのです。
感覚教育
感覚教育は、五感を発達させるための教育です。
モンテッソーリによると、感覚は世界の入り口であり、世界を知るためにまずは自分で感じることが大切とのことです(参照サイト)。
感覚教育で使う教具には、例えば『円柱さし』がありますが、指先で摘んで円柱をはめていきます。
つまみの太さが筆記用具に合わせてあるので、筆記用具を持つ準備にもなっています。
そして、円柱さしに限らず多くの感覚教具は10個で1セットになっているので、算数教育の基礎となる十進法を身につけることにもなっているのです。
言語教育
感覚を覚え、日常生活の練習や積んでいくと、言語の発達に取り組みます。
さまざまな教具を使って、単語や発音、使い方、書き方などを順序よく身につけていきます。
算数教育
感覚教育で培ったものをベースにして、量の概念から入り、数字の感覚を身につけていきます。
文化教育
歴史、地理、生物、美術、音楽、宗教などがあります。
例えば、西東京市のきたしば保育園では、動植物の絵や地球儀、地図などの具体的な教具を使って、自分たちの周りにある世界のことを学んでいくそうです。
子どもが好きそうな分野ですよね。
では次に、モンテッソーリ教育を実践する際のポイントを見ていきます。
モンテッソーリ教育を自分で教えたいと思った場合、資格の必要性や取得方法についてまとめた記事をご用意しました。参考にしてくださいね。
モンテッソーリ教育に資格は必要?3つの機関や働き方、先輩たちの声
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モンテッソーリ教育実践時のポイント
子ども
子どもにとっては、
- 自由選択
- 繰り返し
- 集中
- 達成感
の4段階が重要なポイントとされています。
よくある失敗が、『繰り返し』の際に親が途中で介入して終わらせてしまうことです。
動作を繰り返して覚えていこうとしているので、なるべくそっとしておきたいですね。
親
親にとっては、
- 観察
- 提示
がポイントです。
まず、モンテッソーリ自身も、徹底的な観察から入りました。
子どもがどのような状態にあるのか、何をしようとしているのかを観察するのです。
次に、お手本を見せる『提示』です。
子どもに見えやすいように、ゆっくりと行うことが大切です。
慣れた大人が何の気なしに動作すると、それを初めて見る子どもには速すぎるらしいのです。
モンテッソーリ教育で使われる教具
最後に、モンテッソーリ教育で使われる教具(道具)を紹介しておきますね。
ねじ回し
ねじ回しは、その名のとおり色々なねじを回すだけのシンプルな教具です。
ねじの種類がたくさんあるので、一筋縄ではいきません。
手先で器用に操作する必要があるので、手先の発達にもよさそうですね。
また、木製なので、自然素材の感触も味わって覚えていけます。
キュボロ
キュボロは、あの藤井聡太さんも夢中になったという教具です。
溝や穴のあるブロックを組み合わせていき、球がスムーズにとおり抜けるのを楽しみます。
少し想像してみると、難易度の高さにたじろぎませんか。。?
幼少期にキュボロにハマった藤井さんが将棋の世界で活躍する姿を見ると、キュボロに期待しちゃいますよね。
三項式キューブ
聞き慣れない名前ですが、大きさの異なるサイコロをはめていく教具です。
大きさが異なるので難易度が高く、空間認識力が鍛えられそうです。
天然木素材なのもうれしいですよね。
まとめ
本記事では、モンテッソーリ教育について簡単に解説しました。
1枚のスライドに集約したので、ぜひご覧ください。